物語が始まる・・・か?

先週、一冊の本を買った。
ネットで中古のを安く買った。
「僕の書いたあの島」 片岡義男
旅の友にするために選んだ。
その本を選んだのはほぼ正解だったと思う。

海辺の町に暮らしながら、わたしは海を忘れてしまおうとしていた。
海とともにずっと大事にしていた大切な何かも忘れかけていた。
もしかしたら、身体の不調も、その欠乏によるところが大きいのかもしれない。

直線で100キロ弱。道程ではどれくらいか・・・3時間くらい電車に揺られてたどり着く場所。
ここではない海でわたしは海をほんの少しだけ取り戻した。

思い切って出かけた今回の旅とその本は、無くしかけていた何かを思い出させてくれた。
地味な日本の、景気の悪い何も特別なものなど無さそうな町をたどり、名高くも何ともない温泉で身体を癒しながら時を過ごした数日。

最終日の今日、この旅ではじめての太陽を見た。オレンジ色の小さな朝陽。
目覚めた時には既に水平線からかなり離れていた。
そしてその後1日中青い空と夏の陽射しと、まだ涼しさを残した心地良い風の吹く、この旅唯一の晴天の日となった。

ほんの一時だけ、朝の海に全身を浸した。透明な海水は冷たくて気持ちが良かった。
シャワーを浴びて、荷物をまとめ、チェックアウトのあと、無人駅まで20分ほど田舎道を歩いた。つらい陽射しを風がときどき冷ましてくれた。
昼には風を浴びたくて小さな町を歩いていた。
炎天下を歩いた疲れ、日焼けの消耗。数日間の温泉の効果、油断して無理をしたか・・・疲れは明日にでも出てきそう・・・・

日が暮れる前、通勤ラッシュがはじまる前に、暮らしている部屋に戻った。
途中、夕飯の買い物に立ち寄った地元のスーパーに、片岡の本に登場するような人種の青年が買い物をしていた。人生を海とともに生きることを決めたような風貌の青年。

あの町の海と、この町の海にちがいがあるのだろうか。
あるとすれば、わたしの心の中にある。
とはいえ、水の美しさ、臭い、砂、全身で感じる感覚は明らかに違う。
単純にいえば、美しいか、そうでないかの違い。
美しさを追求するなら、あの海も不十分だ。人口の壁が醜く海にせり出していた。

明日から現実。早寝早起きを目指しましょう。
海とともに生きる人たちはみんなそうらしい。

物語はきっとまだ続く。予定。


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