「寝物語」・・・恐れを知らず・・・

衝動に駆られて家を出るのはいつも昼をとっくに過ぎた午後だった。

目的地は漠然と方向だけを決めて走り出す。

ふと目についた林道の道標にそそられて、幹線道路をそれるのは太陽がかなり西に傾いた頃だった。

砂利道すらまともに走れない未熟な腕で、地図にもない林道をどんどん奥に向かって進んで行く。

道はどこまでも続いていて、必ずどこかに通じていると頑なに信じていた。

そのときまでは・・・・・・・・

道はどんどん狭くなった。

仕舞いには砂利でも土でもなく草が生えたけものみちになった。

それでもわたしは根拠のない信念で道は向こう側の舗装道路に繋がっているはずだと思い込んでいた。

道が無くても山を越えれば舗装された道にぬけるはず・・・やめろ引き返せとひとりの自分が忠告する・・・その向こうにあるはずの道をイメージするもうひとりの自分・・・・

道なんか無い。山を越える腕なんかないじゃないか・・・・

現実を意識したときにはもうUターンするスペースさえ無かった。

谷側も山側も急な斜面。

日は暮れかかり、必死なわたしは考え無しにバイクを降りて、谷側に後輪を落とした。

ずるずると落ちた。とっさに倒した。

そのあとはあまり覚えていない。

恐怖と火事場のばか力でバイクをひきづり上げていた。

一人であることの危険、思い込みの恐ろしさ、無鉄砲のおろかさ、怪我も無く、生きて無事であったことのありがたさ。

その後、わたしは少し大人になってしまった。

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